出典:ホンダN-ONE公式
N-ONEで80馬力を出すことは本当に可能なのでしょうか?結論から言えば、ECUチューンや吸排気系の変更を組み合わせることで、実測80馬力前後は現実的に到達可能な数値です。
愛車をもっと速くするために、手軽なライトチューンから始めるべきか、それとも本格的なJG1 ブーストアップやコンプリートエンジンまで視野に入れるべきか、迷う方も多いでしょう。 ただし、80馬力を実現するには10万円から15万円程度の費用がかかるほか、特にCVT車(2025年改良前のRSやPremium Tourer)においてはトランスミッションの耐久性に配慮した慎重な運用が求められます。
本記事では、気になるターボ車の実馬力とカタログ値の違いや、サーキット走行に必要なリミッターカット方法、そして信頼できるチューニングショップの選び方まで、失敗しないための情報を包み隠さず解説します。
記事のポイント
- N-ONEの実馬力と80馬力チューンの現実的な可能性
- ECU書き換えやブーストアップによる出力向上の手法
- リミッターカットのリスクや車検対応に関する注意点
- 実際にチューニングを行ったユーザーの評価や口コミ
N-ONEを80馬力にする方法と基礎知識

- ターボの実馬力とカタログ値
- 速くするためのN-ONEライトチューン
- JG1で行うブーストアップ
- RSへECUチューンを施す
- RSのCVTで馬力アップする
ターボの実馬力とカタログ値
N-ONEのエンジン性能を正しく理解するためには、まずメーカー公表の数値を確認する必要があります。 現行モデルであるN-ONE RS(JG3)に搭載されているS07B型ターボエンジンは、ホンダの公式諸元表において最高出力47kW[64PS]/6,000rpm、最大トルク104N・m[10.6kgf・m]/2,600rpmと規定されています。
一般的に、カタログ値(ネット値)と、実際にタイヤを介して路面に伝わる「実馬力」には差があります。シャシダイナモ等の計測機で測定すると、駆動ロスを含めた数値として50PS台後半から60PS台前半程度が表示されるケースが多いとされています。
ここで話題となる「80馬力」という数値は、ノーマルの状態で出ているものではありません。あくまで、**「ECU書き換えやブーストアップを行った後に到達を目指す目標値」**としての意味合いが強いものです。 一部のアフターパーツメーカーの実測データでは、吸排気交換とサブコンの組み合わせで60PS台後半、さらに踏み込んだECUセッティングで70PS台後半から80PS付近を記録した事例も報告されています。つまり、80馬力は「カタログ値+α」の延長線上に実在するスペックと言えます。
参照:N-ONE主要諸元

速くするためのN-ONEライトチューン

「いきなりECUをいじるのは怖い」という方には、まずはライトチューンから始めるのが一般的です。これはエンジンの負担を最小限に抑えつつ、レスポンスや扱いやすさを向上させる手法です。
- タイヤ・ホイールの適正化: ハイグリップタイヤへの変更で、パワーを無駄なく路面に伝えます。
- 吸排気系のリフレッシュ: 純正交換タイプのエアクリーナーや、JQR認証済みの車検対応マフラーへの交換で、排気効率とサウンドを改善します。
- 足回りの強化: ローダウンサス等で重心を下げることで、コーナリング速度を上げ、結果として「速く走れる」車に仕上げます。
ライトチューン単体での馬力アップは数馬力程度にとどまることが多いですが、アクセルのつきが良くなることで、体感的な速さは十分に向上します。まずはここから始め、不足を感じた場合に次のステップへ進むのが失敗の少ないアプローチです。

JG1で行うブーストアップ

出典:グーネット
初代N-ONE(JG1/JG2)に搭載されていたS07A型ターボエンジンも、現行同様にカタログ値は64PSですが、内部構造や制御が異なります。中古車価格が手頃になってきたこともあり、ブーストアップのベース車両として楽しむユーザーも少なくありません。
JG1でのブーストアップは、主に以下の手法で行われます。
- ブーストコントローラーの装着: 過給圧を任意に設定し、トルクを太らせます。
- サブコンの利用: 燃料噴射量や点火時期を簡易的に補正し、パワーを引き出します。
これらを組み合わせることで実測70PS前後を狙うことは可能とされています。しかし、JG1型は製造から年数が経過している個体も多いため、タービンやエンジンの経年劣化には十分な注意が必要です。オイル管理が不十分な車両でブーストを上げると、タービンブローなどの重大なトラブルを招くリスクがあります。施工前には必ず専門店でコンディションチェックを受けることを推奨します。
RSへECUチューンを施す
N-ONE RS(JG3)で80馬力級を目指す場合、最も効果的かつ近道なのがECU(エンジンコントロールユニット)チューンです。
手法としては、純正ECUのデータを書き換える「フラッシュ書き換え」や、高性能なサブコンを用いる方法が主流です。これにより、ブースト圧、燃調、点火時期、可変バルブタイミングなどをトータルで最適化します。 一部のショップが提供するECU書き換えメニューでは、実測で80PS前後に到達した事例も報告されています。
【80馬力仕様を目指す場合の費用シミュレーション(概算)】 あくまで目安ですが、本格的に80馬力を狙う場合の総額イメージは以下のようになります。
- ECU書き換え費用: 約8万〜12万円
- 吸排気系パーツ(マフラー・エアクリ): 約10万円
- プラグ等の消耗品・工賃: 約3万〜5万円 → 合計:約20万〜27万円
サブコンのみ(約5万円前後)であれば安価に済みますが、到達出力は60PS台後半〜70PS程度にとどまるケースが一般的です。「どこまで求めるか」と「予算」のバランスを慎重に検討する必要があります。
| メニュー | 目安出力のイメージ | 特徴・リスク | 価格の目安 |
|---|---|---|---|
| サブコンのみ | 60PS台中盤〜 | 手軽だが80PSには届きにくい | 5万〜7万円 |
| 純正ECU書き換え | 70PS後半〜80PS | パワーは出るがメーカー保証リスクあり | 8万〜15万円 |
| フルコン+現車合わせ | 80PS超も視野 | 競技用に近い。高額かつ上級者向け | 20万〜40万円 |
※上記は一般的な相場であり、ショップや仕様により異なります。また、ECU書き換えを行うと、原則としてメーカー保証の対象外となる点にご注意ください。
RSのCVTで馬力アップする

N-ONE RSにはCVTモデルも設定されていますが、80馬力を目指す際にはCVTの耐久性が最大の懸念点となります。
※補足:2025年11月の一部改良により、新車のRSグレードは6MT専用となりました。しかし、それ以前のモデルや中古市場には多くのCVT版RSが存在します。また、ターボエンジンのPremium Tourerも同様のパワートレインを搭載しています。
CVTはベルトとプーリーで動力を伝達する構造上、急激なトルク変動や許容を超える大パワー入力に弱い傾向があります。無理なブーストアップを行うと、ベルト滑りやCVTフルードの過熱によるセーフモード突入、最悪の場合はミッション破損に繋がる恐れがあります。
CVT車でチューニングを楽しむ場合のポイントは以下の通りです。
- 過激なトルクアップを避ける: ピークパワーよりも、中間加速のレスポンス重視のセッティングにする。
- CVTフルードの管理: 油温上昇を防ぐため、こまめな交換やクーラーの追加を検討する。
- 丁寧な操作: 急発進や急激なアクセル操作を控える。
「壊さずに長く乗る」ことを優先するならば、CVT車ではライトチューン+α程度にとどめておくのが賢明な判断と言えるでしょう。
N-ONE 80馬力仕様の性能と実態

- コンプリートエンジンの詳細
- 評判の良いN-ONEチューニングショップ
- リミッターカット方法と注意点
- RSの最高速度と0-100km/h
- 乗ってる人の口コミ・感想レビュー紹介
- まとめ:N-ONE 80馬力の真価とは
コンプリートエンジンの詳細
「コンプリートエンジン」とは、専門ショップが精密に組み上げた高性能エンジンのことです。ピストンやコンロッドのバランス取り、ポート研磨などが施され、高回転まで滑らかに回るのが特徴です。
しかし、費用はエンジン本体と工賃を含めて100万円近く、あるいはそれ以上になることも珍しくありません。80馬力程度を目指すのであれば、ここまでのメニューはオーバースペックとなる場合がほとんどです。コンプリートエンジンは、「サーキットでタイムを削りたい」「一生モノのN-ONEを作りたい」という特別な情熱を持つユーザー向けの選択肢と考えて良いでしょう。
「コンプリートエンジン」とは、専門ショップが精密に組み上げた高性能エンジンのことです。ピストンやコンロッドのバランス取り、ポート研磨などが施され、高回転まで滑らかに回るのが特徴です。
しかし、費用はエンジン本体と工賃を含めて100万円近く、あるいはそれ以上になることも珍しくありません。80馬力程度を目指すのであれば、ここまでのメニューはオーバースペックとなる場合がほとんどです。コンプリートエンジンは、「サーキットでタイムを削りたい」「一生モノのN-ONEを作りたい」という特別な情熱を持つユーザー向けの選択肢と考えて良いでしょう。
評判の良いN-ONEチューニングショップ

チューニングの成否はショップ選びで決まると言っても過言ではありません。特にECUチューンは目に見えない部分をいじるため、信頼性が何より重要です。
- ホンダ車専門の老舗: 「SPOON」や「J’s RACING」などは、レース活動からのフィードバックがあり、ノウハウが豊富です。
- 大手パーツメーカー認定店: HKSテクニカルファクトリーなどは、特定のキットを用いた確実な施工が期待できます。
選ぶ際は、「N-ONE(特にJG3)での現車セッティング実績があるか」「メリットだけでなくリスク(保証や車検)についても説明してくれるか」を確認しましょう。実測データを見せてくれるショップであれば、より安心です。
リミッターカット方法と注意点
サーキット走行などにおいて、純正の速度リミッター(約140km/h前後で作動するとされる)を解除したいというニーズがあります。 方法は主に「ECUデータの書き換え」か「専用サブコンによる解除」ですが、これには重大なリスクが伴います。
- 公道での走行: 法定速度違反はもちろん、重大事故のリスクが跳ね上がります。リミッターカットはクローズドコース専用です。
- 車両への過負荷: N-ONEのタイヤ(速度記号)やブレーキ、車体剛性は、あくまで純正の速度域を前提に設計されています。リミッターを超えた領域での走行は、タイヤバーストやエンジンのオーバーヒートを招く危険性が高いです。
- 保証の喪失: ディーラーでの点検時にリミッターカットが判明すると、一切の保証修理を断られる可能性があります。
RSの最高速度と0-100km/h
80馬力仕様の速さはどれくらいなのでしょうか。公式データはありませんが、一般的に言われている目安を紹介します。
- 0-100km/h加速: ノーマルのN-ONE RS(6MT)で概ね10秒〜13秒程度と言われています。80馬力仕様にすることで、ここから1秒〜2秒程度の短縮が期待でき、体感的な加速感(特に追い越し加速)は明確に向上するでしょう。
- 最高速度: ノーマルでは約140km/hでリミッターが効きます。計算上、80馬力あれば空気抵抗を考慮しても160km/h以上の領域へ達するポテンシャルはあると推測されますが、トールワゴン形状ゆえの空気抵抗や横風の影響を考えると、安定して走行できる領域ではありません。
乗ってる人の口コミ・感想レビュー紹介

実際にチューニングを行ったオーナーの声を見てみると、メリットとデメリットの両面が浮かび上がってきます。
【ポジティブな声】
- サブコンを入れたら、高速の合流が明らかに楽になった
- ECU書き換えで、今まで重かった出足が軽くなり、別の車になったようだ
- ノーマルでも楽しいが、パワーを上げるとスポーツカーとしての資質が開花する
【ネガティブな声・注意点】
- 燃費が悪化した(特にハイオク仕様にした場合、燃料代が気になる)
- 低速トルクは増えたが、劇的な速さを期待しすぎて拍子抜けした
- マフラー音が大きくなり、家族から不評を買ってしまった
多くのオーナーは、数値的な「80馬力」そのものよりも、「自分の思い通りに加速する気持ちよさ」に価値を感じているようです。

まとめ:N-ONE 80馬力の真価とは
N-ONEの80馬力化について、現実的なラインと注意点を整理します。
- 現行N-ONE RS(JG3)のカタログ値は64馬力である
- ECUチューンと吸排気系で、実測80馬力前後は十分に狙える
- 実現にはECUとパーツ代で約20万円〜の費用がかかる目安
- CVT車での過度なパワーアップはミッション破損のリスクが高い
- コンプリートエンジンは高額なため、80馬力狙いなら優先度は低い
- リミッターカットはサーキット専用とし、タイヤ性能にも配慮する
- 0-100km/h加速はノーマル比で明確な向上が期待できる
- 数値だけでなく、アクセルレスポンスや「操る楽しさ」が向上する
- 改造にはメーカー保証対象外となるリスクがあることを理解する
- 信頼できるショップ選びが、長く楽しむための最大の秘訣である









