出典:トヨタライズ公式サイト
トヨタの人気コンパクトSUV「ライズ」。そのラインナップから、かつて設定されていた1000ccの2WDターボモデルが姿を消しました。ライズのターボは速いという口コミも多く、なぜ廃止されたのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ライズのターボがなしになった背景から、前期と後期の違い、現行の4WDターボモデルの性能、そして燃費やターボとハイブリッドの加速性能の比較まで、詳しく解説します。また、1200ccモデルは遅いのかという評判や、中古市場での動向についても触れていきます。
記事のポイント
- ライズの2WDターボモデルが廃止された具体的な理由
- ターボ、NA、ハイブリッド各モデルの性能と特徴の違い
- 現行で購入可能な4WDターボモデルの詳細
- 中古のターボモデルを探す際のポイントと注意点
ライズのターボ廃止はなぜ?主な理由を解説
- ライズの前期と後期での違いとは?
- 現行2WDにライズのターボはなし
- ライズ1000ccターボの口コミ評価
- ライズのターボは本当に速いのか?
- 気になるライズのターボの燃費性能
- ライズの1200ccは遅いって本当?
ライズの前期と後期での違いとは?
トヨタ ライズは、2021年11月の一部改良を境に「前期モデル」と「後期モデル」に分けられ、仕様が大きく変更されました。最も大きな違いは、パワートレインのラインナップです。
パワートレインの変更点
前期モデルでは、ガソリン車は全グレードで1.0Lターボエンジン(1KR-VET)を搭載し、駆動方式は2WDと4WDから選択可能でした。
しかし、後期モデルではパワートレインが刷新され、以下の3種類が設定されました。
- 1.2L NA(自然吸気)エンジン(WA-VE):2WD専用として新たに開発・搭載されました。これにより、従来の2WD・1.0Lターボモデルは廃止となりました。
- 1.0L ターボエンジン(1KR-VET):4WD専用として継続搭載されています。
- e-SMARTハイブリッド:発電用の1.2Lエンジンと駆動用のモーターを組み合わせたシリーズハイブリッドシステムで、2WD専用として新設定されました。
このように、後期モデルでは駆動方式によって搭載されるエンジンが明確に分けられることになりました。
安全装備・機能面の進化
後期モデルでは、予防安全機能「スマートアシスト」も進化しています。従来の機能に加え、夜間の対歩行者検知に対応した衝突回避支援ブレーキや、標識認識機能の認識種類増加(最高速度・一時停止)、路側逸脱警報、ふらつき警報などが追加され、安全性が向上しました。
また、ハイブリッド車とガソリンの上位グレードには電動パーキングブレーキが採用され、全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)に停止保持機能が追加されるなど、運転支援機能も充実し、利便性が高まっています。
項目 | 前期モデル (~2021年10月) | 後期モデル (2021年11月~) |
---|---|---|
2WDガソリン車 | 1.0L ターボエンジン | 1.2L NAエンジン |
4WDガソリン車 | 1.0L ターボエンジン | 1.0L ターボエンジン (継続) |
ハイブリッド車 | 設定なし | e-SMARTハイブリッド (2WD) |
ACC停止保持機能 | なし | あり (一部グレード) |
夜間歩行者検知 | 非対応 | 対応 |
現行2WDにライズのターボはなし
前述の通り、2021年11月の一部改良以降、ライズの2WDモデルにターボエンジンの設定はなくなり、1.2LのNA(自然吸気)エンジン、またはe-SMARTハイブリッドの二択となりました。多くのユーザーから好評を得ていた1.0Lターボがなぜ2WDから廃止されたのか、その背景には複数の理由が考えられます。
理由1:生産効率の向上とコスト削減
最も大きな理由として挙げられるのが、生産効率の向上です。後期モデルから追加されたe-SMARTハイブリッドには、発電用として新開発の1.2Lエンジン(WA-VEX)が搭載されています。このハイブリッド用エンジンと基本設計を共通化したNAエンジン(WA-VE)を2WDガソリン車にも採用することで、エンジンの生産ラインを一本化し、開発・製造コストを大幅に削減する狙いがあったと考えられます。
理由2:燃費性能の改善と環境規制への対応
近年、自動車業界では燃費基準や排出ガス規制が年々厳しくなっています。1.0Lターボエンジン(1KR-VET)は、登場から時間が経過したやや古い設計のエンジンであり、将来的に厳格化する規制をクリアするのが難しくなる可能性がありました。 一方で、新開発された1.2L NAエンジンは、WLTCモード燃費で20.7km/Lを達成。これは前期の1.0Lターボ・2WDモデル(18.6km/L)を上回る数値であり、エコカー減税の面でも有利になります。燃費性能を重視する市場のニーズと環境規制への対応が、エンジン刷新を後押ししたと言えます。
実際に、自動車業界では衝突被害軽減ブレーキの搭載義務化をはじめとする安全基準や、騒音・排出ガスに関する規制が年々強化されています。こうした法規制の将来的な動向を見据えた際、より新しく効率的なパワートレインへの移行は、メーカーにとって合理的な判断だったと考えられます。
理由3:パワートレインの特性の明確化
3つのパワートレインを用意することで、それぞれの特性を明確にし、多様なユーザーニーズに応えるという戦略も見られます。
- e-SMARTハイブリッド:優れた燃費と静粛性、モーターならではのスムーズな走りを求めるユーザーへ
- 1.2L NAエンジン:価格を抑えつつ、日常使いで十分な性能と良好な燃費を両立させたいユーザーへ
- 1.0L ターボエンジン:力強い走りと悪路走破性を求める4WDユーザーへ
このように、各パワートレインの役割を明確に分けることで、ユーザーが自身のライフスタイルに合ったモデルを選びやすくなりました。
補足:認証不正問題による出荷停止とその影響
ライズの動向を語る上で、2023年に発覚した認証不正問題に触れておく必要があります。この問題は、姉妹車であるダイハツ・ロッキーのハイブリッド車で行われたポール側面衝突試験の認証手続きに不正があったことに端を発します。
これにより、ライズのハイブリッドモデルは2023年5月から長期間にわたり生産・出荷が停止され、2024年7月にようやく再開されました。この一連の問題は、1.0Lターボの2WDモデル廃止と直接的な因果関係はありませんが、中古車市場の価格変動に影響を与えたり、トヨタおよびダイハツの品質管理体制や今後のモデル開発戦略に見直しを迫ったりと、間接的に車両の供給や評価に影響を与えた側面があります。
ライズ1000ccターボの口コミ評価
廃止された2WDモデルも含め、ライズに搭載されていた1.0Lターボエンジンは、ユーザーから多くの評価を受けています。その口コミをまとめると、主に動力性能に関するポジティブな意見と、燃費や乗り心地に関する指摘が見られます。
ポジティブな評価
最も多いのは、そのパワフルな加速力に対する高評価です。
- 「1000ccとは思えない力強い加速で、街乗りから高速道路の合流までストレスがない」
- 「排気量1.5LのNAエンジンに匹敵するトルクがあり、坂道でもグイグイ登る」
- 「低回転からトルクが出るので、発進や追い越しが非常にスムーズ」
このように、小排気量ながらターボチャージャーによって補われた力強い動力性能は、多くのドライバーに満足感を与えていたようです。
ネガティブな評価
一方で、いくつかの点について指摘する声もあります。
- 「カタログ燃費ほどの数値は出ず、特に市街地走行では燃費が悪化しがち」
- 「サスペンションが硬めの設定で、路面の凹凸を拾いやすい」
- 「3気筒エンジン特有の振動や音が気になることがある」
特に燃費性能については、走行環境や運転スタイルによってカタログ値との乖離が大きいと感じるユーザーが少なくないようです。また、スポーティな走りを意識した足回りの設定が、人によっては硬いと感じられる場面もあることが伺えます。
参考:
価格.com|トヨタ ライズレビュー・評価
carview|トヨタ ライズ ユーザーレビュー・評価一覧
グーネット|ライズのクルマレビュー

ライズのターボは本当に速いのか?
「ライズのターボは速い」という評価は、そのスペックとエンジン特性に裏付けられています。搭載されている1.0Lターボエンジン「1KR-VET」は、最高出力98PS、最大トルク140Nmを発揮します。
特筆すべきは最大トルクで、この140Nmという数値は、一般的な1.5LクラスのNA(自然吸気)エンジンに匹敵します。さらに重要なのは、この最大トルクを2400rpmから4000rpmという低い回転数から発生させる点です。
多くのNAエンジンが高回転まで回さないと最大トルクを発揮できないのに対し、ライズのターボは常用域である低い回転数で最も力強い加速力を得られます。これにより、信号待ちからの発進、高速道路での合流、追い越しといった日常的なシーンで、アクセルを踏み込んだ瞬間に力強い加速感を体感できるのです。
一部の実測データでは0-100km/h加速が約10.4秒という記録もあり、コンパクトSUVとしては非常に俊敏な部類に入ります。もちろん、本格的なスポーツカーのような速さではありませんが、「日常的な速度域でキビキビと気持ちよく走れる速さ」を持っていると言えるでしょう。
気になるライズのターボの燃費性能
ライズのターボモデルの燃費は、その力強い走りとトレードオフの関係にある部分も見られます。
カタログ燃費と実燃費
まずカタログ燃費(WLTCモード)を見てみると、以下のようになっています。
- 4WDモデル(現行):17.4km/L
- 2WDモデル(前期):18.6km/L
一方で、ユーザーレビューサイトなどで報告されている実燃費は、走行環境に大きく左右されますが、おおむね13km/L~16km/Lの範囲に収まることが多いようです。特に、ストップ&ゴーの多い市街地や短距離の走行が中心となると、実燃費は10km/L台前半まで落ち込むこともあります。
燃費が悪化しやすい要因
ターボエンジンは、アクセルを深く踏み込んで過給圧が高まる状況では燃料消費量が増加する傾向があります。そのため、力強い加速を頻繁に楽しむような運転スタイルでは、燃費が悪化しやすくなります。
高速道路を一定速度で巡航するような状況では比較的燃費が伸びやすいものの、燃費性能を最優先するユーザーにとっては、新開発の1.2L NAエンジン(20.7km/L)やe-SMARTハイブリッド(28.0km/L)に軍配が上がります。
ライズの1200ccは遅いって本当?
2WDターボモデルに代わって登場した1.2L NA(自然吸気)エンジンについて、「パワー不足で遅いのではないか」という懸念の声が聞かれることがあります。
スペックの比較
まず、スペックを1.0Lターボと比較してみましょう。
1.2L NAエンジン | 1.0L ターボエンジン | |
---|---|---|
最高出力 | 87PS / 6000rpm | 98PS / 6000rpm |
最大トルク | 113Nm / 4500rpm | 140Nm / 2400-4000rpm |
数値上では、最高出力・最大トルクともにターボエンジンが上回っており、特に最大トルクの差は顕著です。このスペック差から、高速道路での追い越しや急な登坂路など、大きなパワーが求められる場面では、ターボモデルに比べて力不足を感じる可能性があります。
実際の走行フィール
しかし、「遅い」と一概に断じるのは早計かもしれません。1.2L NAモデルは、1.0Lターボモデルに比べて車両重量が約70kg軽いという利点があります。この軽さが効いて、市街地での発進や低速域での走行では、意外なほど軽快に走るという評価もあります。
ロングストローク設計により、実用域でのトルクも確保されており、平坦な道での日常的な運転であれば、過不足ない性能を持っていると言えます。ただし、乗車人数が多い場合や、山道、高速道路を頻繁に利用するユーザーにとっては、パワーに物足りなさを感じる場面があることも事実です。最終的には、試乗などを通じて自身の運転スタイルに合っているかを確認することが大切です。
ライズのターボ廃止はなぜ?関連情報を紹介
- 現行のライズ4WDターボのスペック
- ライズのターボとハイブリッドの加速比較
- 狙い目?ライズターボ中古の価格相場
- ライズ4WDターボ中古を探す注意点
- 総括:ライズのターボ廃止はなぜかを理解
現行のライズ4WDターボのスペック
2025年10月現在、新車で購入できるライズのターボモデルは、4WD専用グレードのみとなっています。このモデルは、SUVらしい力強い走りと悪路走破性を求めるユーザーにとって、唯一の選択肢です。
搭載されるエンジンは、定評のある1.0L 直列3気筒ターボ「1KR-VET」。トランスミッションには、伝達効率に優れたD-CVTが組み合わされます。
駆動システムには「ダイナミックトルクコントロール4WD」を採用。これは、走行状況に応じて後輪へのトルク配分を最適に制御するシステムです。通常走行時は前輪駆動に近い状態で燃費を稼ぎ、滑りやすい路面での発進時やコーナリング時には、瞬時に後輪へ駆動力を配分して走行安定性を高めます。
このシステムにより、雪道や未舗装路といった悪路での走破性を確保しつつ、オンロードでの安定した走りも両立させています。コンパクトなボディながら、本格的なSUVとしての性能を備えているのが大きな魅力です。
項目 | スペック |
---|---|
エンジン | 1KR-VET (1.0L 直列3気筒インタークーラー付ターボ) |
最高出力 | 98PS (72kW) / 6000rpm |
最大トルク | 140N・m (14.3kgf・m) / 2400-4000rpm |
WLTCモード燃費 | 17.4km/L |
駆動方式 | ダイナミックトルクコントロール4WD |
ライズのターボとハイブリッドの加速比較
ライズの購入を検討する際、特に比較対象となるのがターボモデルとe-SMARTハイブリッドモデルの加速性能の違いです。どちらも個性的な走行フィールを持っており、どちらが優れているかは利用シーンやドライバーの好みによって異なります。
e-SMARTハイブリッドの加速
ハイブリッドモデルは、エンジンを発電に使い、100%モーターの力で走行するシリーズハイブリッド方式です。モーターは、アクセルを踏んだ瞬間に最大トルク(170Nm)を発生させる特性を持っています。 そのため、信号待ちからの発進や極低速域からの加速は非常にスムーズかつ静かで、レスポンスに優れています。電気自動車のような滑らかな加速フィールは、特にストップ&ゴーの多い市街地走行で真価を発揮します。
ターボの加速
一方、ターボモデルは、エンジン回転数が上がるにつれてパワーが盛り上がっていく、内燃機関ならではの加速感が特徴です。特に、ターボが効き始める2400rpmあたりからの中間加速は力強く、高速道路での合流や追い越しシーンで頼もしさを感じさせます。 高回転域まで回した際のパンチ力や伸びやかさは、ターボモデルならではの魅力と言えるでしょう。
シーン別の比較
- 発進・街乗り:静かでスムーズな加速を求めるならハイブリッド
- 高速・追い越し:力強い中間加速と伸びを求めるならターボ
どちらもコンパクトSUVとしては十分な加速性能を持っていますが、その「質」が異なります。街乗りがメインであればハイブリッド、高速走行やスポーティなフィールを重視するならターボという選択が考えられます。
狙い目?ライズターボ中古の価格相場
新車では購入できなくなった2WDのターボモデルは、中古車市場で根強い人気を保っています。その活発な需要から、中古車価格は高値で安定している状況です。
2025年10月時点での中古車相場は、年式や走行距離、グレードによって幅がありますが、おおむね110万円から210万円前後で推移しています。特に、人気グレードの「Z」や、走行距離の少ない程度の良い車両は、新車価格に近い価格で取引されることも珍しくありません。
この価格高騰の背景には、国内での需要に加え、海外への輸出需要も大きく影響しています。特に、一部の国で日本の中古車に対する需要が高まっており、ライズのターボモデルもその対象となっていることが、相場を押し上げる一因となっています。
新車で手に入らないという希少価値と、その高い走行性能から、今後もライズの2WDターボモデルの中古車相場は、大きく値崩れすることなく堅調に推移していくと予想されます。そのため、「狙い目」というよりは、状態の良い車両を見つけたら早めに決断する必要があるかもしれません。
ライズ4WDターボ中古を探す注意点
現行でも新車販売されている4WDターボモデルですが、少しでも費用を抑えたい場合は中古車も選択肢に入ります。中古車相場は、おおよそ170万円から240万円前後と、2WDモデルよりもやや高めの価格帯で形成されています。
ライズの4WDターボ中古車を探す際には、いくつかの注意点があります。
グレードによる装備の違い
ライズには主に「X」「G」「Z」という3つのグレードが存在します。
- X:基本的な装備を備えたベースグレード。
- G:アルミホイールやオートエアコンなどが追加され、装備が充実した中間グレード。
- Z:17インチアルミホイールやLEDシーケンシャルターンランプなどが装備された最上級グレード。
特に安全装備や快適装備はグレードによって大きく異なるため、自分が欲しい装備がどのグレードに標準装備されているのか、あるいはオプションで追加されているのかを事前に確認することが大切です。
前期・後期の仕様変更
2021年11月を境に、前期モデルと後期モデルで安全装備や機能が異なります。特に、ACCの停止保持機能や電動パーキングブレーキの有無は、運転の快適性に大きく影響します。より先進的な運転支援機能を求めるのであれば、後期モデル(2021年11月以降の生産車両)を選ぶ必要があります。
年式、走行距離、修復歴といった一般的な中古車選びの基本に加え、これらのグレード差や年式による仕様の違いをしっかりと見極めることが、満足のいく一台を見つけるための鍵となります。
総括:ライズのターボ廃止はなぜかを理解
この記事で解説してきた「ライズのターボ廃止はなぜか」という疑問について、最後に要点をまとめます。
- ライズの2WDターボは2021年11月の改良で廃止された
- 廃止の最大の理由はハイブリッド用エンジンとの共通化によるコスト削減
- 燃費性能の向上と、厳格化する環境規制への対応も理由の一つ
- パワートレインの特性を明確化し、ユーザーの選択肢を広げる狙いもあった
- 後期モデルではパワートレインの他に安全装備も大きく進化している
- 1.0Lターボは1.5L NA並みのトルクで加速性能に定評があった
- 口コミでは力強い走りが高評価だが、燃費の悪化を指摘する声もある
- 1.2L NAはターボより非力だが、車重が軽く街乗りでは軽快に走る
- 現行モデルでターボが選べるのは4WD専用グレードのみとなっている
- 4WDは悪路や雪道での高い走破性が魅力の本格SUV仕様
- ハイブリッドはモーター駆動による静かでスムーズな発進加速が特徴
- ターボは中高速域での力強い伸びやかな加速フィールが持ち味
- 廃止された2WDターボは中古市場で人気が高く、価格は高値安定
- 中古車を探す際はグレードによる装備差や前期・後期の仕様変更に注意
- 自身の利用シーンを考え、最適なパワートレインを選ぶことが重要