出典:ホンダS660
ホンダS660は、その唯一無二のデザインと運転の楽しさで多くのファンを魅了する軽スポーツカーです。しかし、購入を検討する中で「買ってはいけない」という気になる声も聞こえてきます。実際に所有してから後悔しないためにも、手放した理由や維持に関する現実的な課題を事前に知っておくことが大切です。
高速走行では煽られる、あるいは怖いと感じる場面はないのか、中古車市場での価格動向や10年後の部品供給はどうなるのか、といった不安は尽きません。また、S660からロードスターに乗り換えを検討する声もあり、その背景には何があるのでしょうか。
この記事では、買ってよかったという満足の声も踏まえながら、ホンダS660の購入を判断するための客観的な情報を多角的に解説します。
記事のポイント
- S660が「買ってはいけない」と言われる具体的な理由
- オーナーが実際に感じているメリットとデメリット
- 中古車選びの注意点や将来の維持に関する不安
- 購入後に後悔しないための客観的な判断材料
ホンダ S660は買ってはいけない?実用面の理由
- S660で後悔する前に知る手放した理由
- S660のエンジンはダメで楽しくないのか
- S660は煽られる?高速走行が怖い場面
- S660は50代には厳しい?体への負担
- 軽なのに高い?S660の年間維持費
S660で後悔する前に知る手放した理由
ホンダS660の購入後に「こんなはずではなかった」と後悔し、売却に至るケースには共通した理由が存在します。その最大の要因は、スポーツカーとしての楽しさと引き換えに、日常生活における実用性が大きく制限される点です。
圧倒的に少ない収納スペース
S660はミッドシップレイアウト(エンジンを車体中央に配置する方式)を採用しているため、一般的な車にある後部のトランクスペースが存在しません。フロントには小さな収納スペースがありますが、脱着式の屋根(ソフトトップ)を格納すると、そのスペースはほぼ使い切ってしまいます。結果として、2名乗車時には手荷物を置く場所すら確保が難しく、助手席の足元に置くほかありません。
日常の買い物ですら荷物の置き場所に悩み、旅行やアウトドアといった大きな荷物を伴う趣味には全く向いていないのが現実です。この積載性の低さが、購入前のイメージとのギャップを生み、「生活に合わなかった」という手放した理由に直結します。
ライフスタイルの変化への未対応
2シーターであるため、結婚や子供の誕生といったライフスタイルの変化に対応できない点も大きな理由として挙げられます。家族が増えれば当然ながら2人乗りでは手狭になり、チャイルドシートの設置も不可能です。セカンドカーとして所有し続ける選択肢もありますが、維持費や駐車スペースの問題から、結局は実用的な車に買い替える決断をするオーナーは少なくありません。「趣味の車」として割り切れる環境がなければ、長期的な所有は難しいと考えられます。
これらの理由から、S660は「移動手段」としてではなく、純粋な「趣味の道具」として捉え、自身のライフスタイルや車の使用目的に合致するかを冷静に見極めることが、購入後の後悔を避ける鍵となります。
主な理由 | 具体的な内容 | 影響しやすいシーン |
---|---|---|
実用性の低さ | 荷物が積めず二人乗り限定 | 日常の買い物や旅行 |
ライフスタイル変化 | 家族構成の変化で不適合 | 出産や転居のタイミング |
コスト負担 | タイヤや消耗品の単価が高め | 通勤で距離が伸びる場合 |
心理的要因 | 他車とのサイズ差からの不安 | 高速道路や幹線道路 |

S660のエンジンはダメで楽しくないのか
S660のエンジン性能や運転の楽しさについては、評価が大きく分かれる傾向にあります。「エンジンがダメで楽しくない」という意見の背景には、主に絶対的なパワーへの期待値との乖離が存在します。
パワー不足を感じる場面
S660が搭載するのは、軽自動車規格に準じた660ccのターボエンジンです。最高出力は自主規制値である64馬力に設定されています。街乗りや信号の多い市街地では十分な加速を感じられますが、高速道路での合流や追い越し、長い上り坂といった場面では、パワー不足を感じるという声が少なくありません。
特に、より排気量の大きいスポーツカーの加速感を知っているドライバーにとっては、高回転域での伸びのなさが物足りなく感じられることがあります。あくまで軽自動車の枠内でのパフォーマンスであり、「スポーツカーらしい圧倒的な速さ」を求めると、期待外れに終わる可能性があります。
ハンドリングが生む唯一無二の楽しさ
一方で、S660の真骨頂はパワーではなく、その卓越したハンドリング性能にあります。ミッドシップレイアウトによる理想的な重量配分と低重心な設計は、まるでゴーカートのようなダイレクトで軽快な操縦感覚を生み出します。
自分の手足のように車を操り、カーブを思い通りに駆け抜ける感覚は、S660ならではの大きな魅力です。「運転がとにかく楽しい」「交差点を曲がるだけで笑みがこぼれる」といった肯定的な評価の多くは、この独特の操る喜びに起因しています。
要するに、S660は直線的な速さを追求する車ではなく、コーナーリングや車との一体感を楽しむための車と言えます。どのような「楽しさ」を車に求めるかによって、その評価は「ダメ」にも「最高」にもなり得るのです。
S660は煽られる?高速走行が怖い場面
S660のオーナーや購入検討者の中から、高速道路での走行時に「煽られるのではないか」「怖いと感じる」といった不安の声が聞かれます。これには、車の物理的な特性と心理的な要因が関係しています。
車体の小ささと低さが要因
S660は軽自動車規格のコンパクトなボディで、全高が1,180mmと非常に低いのが特徴です。このため、大型のトラックやSUVが後方に接近すると、視覚的な圧迫感が他の車よりも格段に強くなります。ルームミラーに映る後続車が大きく見えるため、実際以上に車間距離を詰められているように感じ、「煽られている」という恐怖心を抱きやすいのです。
また、車体が小さく軽いため、大型車が横を通過する際の風圧で車体がふらつく感覚を覚えることもあります。特に悪天候時や橋の上など、横風が強い状況では、より一層の緊張感を伴う運転が求められます。
パワー不足によるストレス
追い越し車線など、流れの速い状況ではエンジンのパワー不足がストレスの原因となる場合があります。後続車が迫っている状況でスムーズに加速できないと、後続車のドライバーを苛立たせてしまい、結果的に車間を詰められる(煽られる)状況を誘発してしまう可能性も否定できません。
対策で不安は軽減可能
こうした不安を軽減するためには、いくつかの対策が有効です。
- 車間距離の確保: 無理に流れをリードしようとせず、十分な車間距離を保ち、走行車線を基本として運転する。
- ドライブレコーダーの設置: 万が一の煽り運転に備え、後方を録画できるドライブレコーダーを設置することで、心理的な安心感が得られます。
- 車両の挙動に慣れる: S660の特性を理解し、どのような状況でふらつきやすいかなどを把握しておくことで、冷静に対処できるようになります。
これらの点を踏まえると、S660での高速走行にはある程度の慣れと配慮が必要であり、特に運転初心者や運転に自信がない方にとっては、怖いと感じる場面があるかもしれない、ということが言えます。
S660は50代には厳しい?体への負担
趣味の時間を楽しみたい50代以上のドライバーにとって、S660は魅力的な選択肢に映ります。しかし、その特殊な設計ゆえに、身体的な負担が大きく「50代には厳しい」と言われる側面があるのも事実です。
乗り降りのしにくさ
S660はスポーツカーとして極端に低いシートポジションを採用しています。地面からシート座面までの高さが低いため、乗り降りする際には体を大きく屈め、「よじ登る」「滑り込む」といった動作が必要になります。若い世代であれば問題なくこなせるこの動作も、年齢と共に足腰への負担となり、日常的な利用が億劫になる可能性があります。特に、狭い駐車場でのドアの開閉角度が限られる場面では、乗り降りの困難さが一層増します。
硬めの乗り心地と長距離運転の疲労
走行性能を重視した結果、S660のサスペンションは硬めに設定されています。これにより、路面の凹凸や段差からの衝撃がダイレクトに伝わりやすく、特に長距離の運転では疲労が蓄積しやすくなります。腰痛の持病がある方や、快適な乗り心地を求める方にとっては、このゴツゴツとした感覚が大きなストレスとなるでしょう。
シートのホールド性は高いものの、タイトな室内空間と相まって、長時間同じ姿勢を強いられることも疲労の一因と考えられます。
これらの点から、50代以上の方がS660の購入を検討する際には、デザインや走りの楽しさだけでなく、ご自身の体力や健康状態を考慮することが不可欠です。購入前には必ず実車に試乗し、特に乗り降りの動作や乗り心地が許容範囲内であるかを慎重に確認することをお勧めします。
軽なのに高い?S660の年間維持費
「軽自動車は維持費が安い」という一般的なイメージがありますが、S660に関しては必ずしも当てはまりません。スポーツカーとしての特殊な設計が、維持費を押し上げる要因となっています。
税金と燃費
まず、自動車税に関しては軽自動車規格のため、年間10,800円(2025年10月時点、新規登録から13年未満の場合)と安価です。燃費も走り方によりますが、ユーザー報告では平均して18km/L前後と、スポーツカーとしては比較的良好な数値を維持しています。この点においては、軽自動車としての経済的なメリットを享受できます。
高額になりがちな消耗品と保険料
問題となるのは、それ以外の費用です。S660は走行性能を高めるために、多くの専用部品を採用しています。
- タイヤ: 前後で異なるサイズ(異径タイヤ)のハイグリップタイヤを装着しており、4本交換すると6万円から10万円程度の費用がかかることもあります。これは一般的な軽自動車の2倍以上の価格です。
- 消耗品: エンジンオイルやブレーキパッドなども、性能を維持するために高品質なものが推奨され、交換費用は割高になる傾向があります。
- 任意保険料: 型式ごとの事故率などから保険料が決まる「料率クラス」において、S660はスポーツカーとして扱われるため、一般的な軽自動車よりも保険料が高く設定されています。年齢や等級にもよりますが、年間5万円から8万円以上になるケースも珍しくありません。参照:損害保険料率算出機構
年間維持費の目安
これらの費用を総合すると、S660の年間維持費は走行距離やメンテナンスの頻度によって大きく変動しますが、おおよその目安は以下のようになります。
このように、S660は「軽自動車だから安い」と安易に考えると、購入後に維持費の高さに驚く可能性があります。「趣味のコスト」として割り切れるかどうかが、所有の満足度を左右する一つのポイントとなります。
価値観次第?ホンダ S660を本当に買ってはいけないか
- 「S660を買ってよかった」という声
- 乗ってる人の口コミ・感想レビューまとめ
- ホンダ S660の中古車市場の現状
- S660の部品供給は10年後どうなる?
- S660からロードスターに乗り換える選択肢
- 結論|ホンダ S660は買ってはいけないか
「S660を買ってよかった」という声
これまでS660の実用面でのデメリットを中心に見てきましたが、それらの不便さを補って余りある魅力があるからこそ、多くのオーナーから「買ってよかった」という声が上がっています。その満足度の源泉は、主に以下の点に集約されます。
他では味わえない運転の楽しさ
S660の最大の魅力は、その非日常的な運転感覚です。低い着座位置、ダイレクトなハンドリング、そしてミッドシップレイアウトがもたらす車との一体感は、多くのオーナーが「まるでゴーカートのよう」と表現します。絶対的なスピードではなく、車を自分の意のままに操る根源的な楽しさが、S660には詰まっています。週末のドライブが待ち遠しくなる、移動そのものが目的になる、そんな特別な体験を提供してくれます。
唯一無二のデザインと所有する満足感
軽自動車の枠の中に、本格的なスポーツカーのデザインを凝縮したスタイリングは、見る者の心を惹きつけます。コンパクトでありながら存在感のあるフォルムは、所有する喜びを日々感じさせてくれます。2022年に生産が終了したことで、その希少性はさらに高まりました。「絶版の軽ミッドシップスポーツ」という特別な一台を所有しているという満足感は、他の車では得難いものです。
趣味の対象としての価値
S660は実用性を潔く切り捨てた、まさに「趣味のクルマ」です。荷物が積めない、室内が狭いといったデメリットは、オーナーにとっては「そういうものだ」と納得の上で受け入れられています。むしろ、その割り切った設計思想こそが、S660の個性を際立たせています。セカンドカーとして、あるいは子育てを終えた世代が自分のために選ぶ一台として、人生を豊かにするパートナーとなり得るのです。
これらの声からわかるように、S660は車を「生活の道具」ではなく「人生の楽しみ」と捉える人にとって、かけがえのない価値を持つ一台と言えます。
乗ってる人の口コミ・感想レビューまとめ
S660に関するオーナーの口コミやレビューを総合すると、その評価は「どのような価値観で車と向き合うか」によって明確に二極化する傾向が見られます。
高評価のポイント:走りの楽しさと特別感
満足しているオーナーの多くは、S660を「趣味性の高い車」として受け入れています。
- 運転の楽しさ: 「ハンドリングが最高」「峠道がとにかく楽しい」といった、操縦性の高さを絶賛する声が圧倒的多数を占めます。
- デザイン: 「見た目に一目惚れした」「所有欲を満たしてくれる」など、そのユニークなスタイリングへの評価は非常に高いです。
- 希少性: 生産が終了したことによる特別感や、車好き同士のコミュニケーションが生まれるきっかけになる点をメリットとして挙げる声も見られます。
これらのオーナーは、S660のデメリットを承知の上で、「楽しさ」という価値を最優先していることが伺えます。
低評価のポイント:実用性の欠如と維持コスト
一方で、後悔や不満を感じているオーナーは、主に日常生活での使い勝手に言及しています。
- 積載性と居住性: 「本当に荷物が載らない」「想像以上に車内が狭く窮屈」といった、実用面での不満が最も多く見られます。通勤や買い物といった日常使いを想定していた場合、このギャップに苦しむようです。
- 維持費: 「軽自動車のつもりでいたらタイヤ代が高くて驚いた」など、想定以上の維持コストをデメリットと感じる声も少なくありません。
- 乗り心地: 「長距離は疲れる」「同乗者から不評」といった、硬い乗り心地に関するネガティブな意見も散見されます。
総じて、S660は「セカンドカーとして週末のドライブを楽しむ」といった限定的な使い方であれば高い満足度が得られますが、「この一台で全てをこなそう」と考えると、多くの場面で不便さを感じ、後悔につながりやすい車だと言えるでしょう。
ホンダ S660の中古車市場の現状
S660は2022年3月をもって生産を終了したため、現在では新車での購入はできず、入手方法は中古車のみとなります。生産終了のアナウンス以降、その希少性から中古車市場では価格が高騰する傾向にあります。
プレミア価格化の進行
特に、最終モデルである「モデューロX バージョンZ」や、走行距離の少ない高年式の車両は、新車時の価格を上回るプレミア価格で取引されることも珍しくありません。一般的な中古車のように年式や走行距離に応じて値下がりするというよりは、むしろ価値が維持、あるいは上昇しているのが現状です。
2025年10月時点の価格相場
現在のS660の中古車価格相場は、グレードや年式、走行距離、車両の状態で大きく異なりますが、大まかな目安は以下の通りです。
※上記はあくまで目安であり、実際の価格は個々の車両状態によって変動します。
中古車選びの注意点
S660の中古車を選ぶ際は、価格だけでなく、以下の点にも注意が必要です。
- ソフトトップの状態: 屋根の開閉機構に不具合がないか、雨漏りの原因となるゴム類の劣化が進んでいないかを確認する。
- 下回りの傷: 車高が低いため、車体下部を擦っている可能性があります。リフトアップして確認できると安心です。
- 修復歴の有無: スポーツカーという特性上、過度な走行をされていた可能性も考慮し、修復歴の有無は厳しくチェックしましょう。加えて、購入を検討している車両が過去のリコール対象であった場合、対策がきちんと実施されているかを車台番号で確認することも重要です。(参照:国土交通省 自動車不具合情報検索)
S660は軽自動車としては異例の高値圏で相場が推移しており、購入にはしっかりとした予算計画が求められます。
S660の部品供給は10年後どうなる?
生産が終了した車種を長期的に所有する上で、最も大きな懸念の一つが「補修部品の供給」です。S660は2022年に生産を終えましたが、オーナーやこれから中古車を購入しようとする人々にとって、10年後、20年後も安心して乗り続けられるのかは重要な問題です。
メーカーの部品供給義務と現状
一般的に、自動車メーカーは車種の生産終了後、最低でも10年間は主要な機能部品を供給する義務があるとされています。ホンダもS660に関して「長期供給を目指す」と公式に発表しており、当面の間はエンジンや駆動系といった走行に不可欠な部品の供給が途絶える心配は少ないと考えられます。
したがって、少なくとも2032年頃までは、メーカーからの部品供給に大きな問題は発生しないと推測されます。
懸念される外装パーツや専用部品
一方で、懸念点も存在します。すでに一部のオーナーからは、ボディパネルやバンパーといった外装パーツや、内装の特定の部品が品薄になっている、あるいは納期に時間がかかるといった声が上がっています。
特に、S660は専用設計の部品を多用しているため、汎用品での代替が難しいパーツも少なくありません。これらの部品がメーカーで生産終了となると、今後は中古部品やリビルド品(再生部品)を探すか、ワンオフで製作するといった高コストな対応が必要になる可能性があります。
長期的な視点で見ると、法規制の変更(例えば、将来的に特定の安全装備が義務化されるなど)に対応できなくなるリスクや、部品価格そのものが希少性から高騰していく可能性も考慮しておくべきでしょう。S660を10年後も維持していくためには、信頼できる整備工場との関係を築き、部品情報を常に収集していく姿勢が大切になります。
S660からロードスターに乗り換える選択肢
出典:マツダロードスター
S660の購入を検討する際、あるいは所有する中で、比較対象として頻繁に名前が挙がるのがマツダ・ロードスターです。実際に、S660の持つデメリットを解消するために、ロードスターへ乗り換えるという選択をするオーナーも少なくありません。
ロードスターが解決するS660の弱点
S660からロードスターへの乗り換えは、主に以下の点で満足度の向上につながる可能性があります。
- 動力性能の向上: ロードスターは1,500cc(現行モデル)のエンジンを搭載しており、S660の660ccエンジンに比べて絶対的なパワーとトルクに余裕があります。高速道路での走行や追い越し加速が格段にスムーズになり、動力性能に関する不満は解消されるでしょう。
- 実用性の改善: ロードスターには独立したトランクスペースが確保されており、S660では絶望的だった2人での小旅行にも対応できます。積載性の向上は、実用面で大きなメリットです。
- 快適性の向上: S660に比べて乗り心地がしなやかで、車内空間にも若干の余裕があります。長距離移動時の疲労が軽減され、同乗者からの不満も出にくくなると考えられます。
失われるものと、新たに発生するコスト
もちろん、乗り換えはメリットばかりではありません。
- 軽自動車のメリットの喪失: S660の大きな利点であった「軽自動車ならではの維持費の安さ」は失われます。自動車税は年間30,500円(1.0L超~1.5L以下)となり、重量税や保険料も普通車水準に上がります。
- 乗り味の変化: S660の持つゴーカートのような軽快でダイレクトな操縦感覚は、ロードスターの持つ本格FRスポーツカーのしっとりとした乗り味とは異なります。どちらが良いかは個人の好みによりますが、S660の唯一無二の感覚を失うことになります。
S660の「軽快さ」と「維持費の安さ」に価値を見出すか、ロードスターの「パワー」と「実用性」を求めるか。この乗り換えの選択は、オーナーがオープンスポーツカーに何を最も重視するかを明確にする、一つのリトマス試験紙と言えるかもしれません。
観点 | S660 | ロードスター |
---|---|---|
規格・駆動 | 軽自動車・ミッドシップ | 普通車・FR |
積載と実用 | 荷室は極めて限定的 | トランクに一定の余裕 |
乗降性・長距離 | 姿勢はスポーティで低い | 着座にやや余裕 |
維持費 | 軽の中では高め | 普通車相応で上がりやすい |
結論|ホンダ S660は買ってはいけないか
この記事で解説してきた情報を基に、ホンダS660の購入判断に関する結論をまとめます。
- S660は実用性よりも運転の楽しさを最優先した趣味の車
- 後部トランクは無く、フロントの収納も屋根を格納するとほぼゼロ
- 2人乗車時の荷物スペースは助手席の足元に限られ非常に不便
- 結婚や出産などライフスタイルの変化には対応が難しい2シーター
- 絶対的なパワーは軽規格の64馬力で高速走行では非力さを感じる
- 最大の魅力はゴーカートのようなダイレクトなハンドリング性能
- 車体が低く小さいため大型車からの圧迫感で煽られると感じやすい
- 低い乗降性と硬い乗り心地は50代以上のドライバーには負担が大きい
- 税金は安いが専用タイヤや任意保険料で維持費は軽として割高
- 運転の楽しさやデザインへの満足度が非常に高いという声も多数
- 生産終了により希少価値が高まり中古車市場では価格が高騰中
- 特に最終モデルや特別仕様車は新車価格を超えるプレミア価格
- 走行に必須な部品供給は生産終了後10年程度は継続される見込み
- 外装パーツなど一部ではすでに品薄や納期遅延も発生している
- パワーや実用性を求めるならロードスターへの乗り換えも選択肢